ART INSPIRATION
私がボタニカルアートを制作する際のインスピレーションの1つについて書きたいと思い立ち、この記事を作成しました。
様々なアートの価値観があると思いますが、この記事でアートの世界について想いを馳せる内省的な思想の機会になれば嬉しいです。
私がボタニカルアートのモチーフとしてお気に入りになる植物は、花言葉が前向きな気持ちになる種類がほとんどです。
それは、私は人生を生きていく上で、いつも善い言葉を言うことが人間にとって大切だという信念を持っているからです。
ボタニカルアートを描く上で、モチーフにする植物を本などで研究するのですが、本に書かれている花言葉を眺めながら、人は花に意味を込めて自分の気持ちを表現するのだなぁと、長い人類の歴史に思いを馳せていたりしてます。
花には花言葉がつけられているけれど、花に込められた人間の想いや繊細な機微は、花に想いを込めた人にしか分からないこと、その花に意識を向けた人だけが感じられること、そして誰も全てを分かりきることはできない神秘的な無意識の世界を内包していると考えており、アートと花言葉の親和性を感じています。
花自体は、自然の中で生命を懸命に生きている。言葉を発さない花たちに、人は言葉では表現できない繊細な感情を重ね、花は人の気持ちを受け取って、優しく風に揺れる。
モチーフにしたいと思った花の中には、切ない花言葉がつけられており、それを知った瞬間に悲しくなり描く気持ちが減ってしまうのですが、それでもその花にとても強いインスピレーションを受けた場合は、自身で新たな解釈をつける気持ちで、思い切ってモチーフとして表現したくなるときがあります。花言葉がつけられた昔の時代と現代で異なる景色があるからです。
ただ、哀愁のある世界を作品にすることを否定する訳ではなく、内側から湧きおこる哀愁のあるインスピレーションを表現する為に、切ない花言葉の花を選んで作品を制作することも芸術表現の1つであり、鑑賞者を深い内省の世界へ誘う良さがあると考えています。
自身が作品で何を表現したいか、それがアートを制作する上で大切なことなのだと思います。
私のボタニカルアート制作は、モチーフへの強いインスピレーションから開始されていて、善に溢れる輝く未来へどのように進めていくかを意識して描いています。
モチーフにインスピレーションを抱いた時、前向きな花言葉である場合は魅力を感じて積極的に制作を行い、切ない花言葉の場合は悲しみや失望で終わらせず、未来へ進むための内省的な作品にして昇華することが私は好きです。
古代ギリシャから描かれている、歴史の古いジャンルであるボタニカルアートを現代のアーティストが制作するとき、歴史からインスピレーションを受けるときもあれば、目の前にある植物から放たれるインスピレーションを感じ取って自分で新しい表現を試してみる。そのようなイノベーションによって、新たなアートの世界を作ることができるのではないかと考えています。